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グローバル「女性活躍」の先へ。アーケム中国拠点が証明する、個が尊重される組織力【後編】
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グローバル「女性活躍」の先へ。アーケム中国拠点が証明する、個が尊重される組織力【後編】
中国の一般的な企業では、女性の就業率自体は高いものの、職場責任者クラスの女性登用率は平均16.8%*1に留まっている中で、亚科迈高机能树脂制品(开平)有限公司(以下、ACK)では、女性管理職の比率が80%を超えており、実力次第で女性が第一線で大いに活躍できる環境が整っています。
前編では、そんなACKを牽引する工場長・部長陣に焦点を当て、性別にとらわれず個を公平に評価する独自の文化を紐解きました。
「女性活躍」の先へ。アーケム中国拠点が証明する、個が尊重される組織力【前編】
続く後編では、現場の最前線で指揮を執る11名の課長職メンバーが登場します。上層部が醸成した「オープンな対話」の文化は、いかにして現場に浸透し、自発的なチーム作りを可能にしているのか。より現場に近い視点から、ACKの強さの源泉である「組織の底力」をさらに深く追求します。
*1 Share of women in management positions (SDG 5.5.2) 2005年データより
https://ilostat.ilo.org/data/country-profiles/chn/

|個の成長を組織が支える
―前編では部長陣の困難な場面における「誠実さ」が話題にのぼりました。現場を預かる皆さんも、これまで多くの困難に直面されてきたそうですね。
張瑞紅さん(購買課): 私は人事から購買へ異動した直後が、一番の正念場でした。長年人事業務に携わってきた私にとって、購買は全くの未経験領域。まさに「右も左もわからない」状態からのスタートでした。購買の業務はスピード感と緻密さが同時に求められます。異動直後は、1日に300通から500通も届くメールを処理するだけで日が暮れてしまいました。サプライヤーとの交渉、納期調整、各部署との連携……。専門用語が飛び交うメールを読み解き、対応の優先順位をつけるだけでも精一杯で、最初は途方に暮れてしまっていました。
―その状態をどのように抜け出すことができたのですか?
張瑞紅さん:周囲の助けがあったからです 。上司はもちろん、他部署の同僚たちまでが私の未経験を知った上で、惜しみなく知恵を貸してくれました。
周囲に学び、自分をアップデートし続けることで、少しずつ対応の優先順位をつけられるようになり、できることが一つずつ増えていったのだと感じています。
彭晓辉さん(営業課長):張さんの言う通り、ACKには「学び合い」の精神があります。私はメンバーに、そうした社内の学びを土台にしつつ「実践を積むこと」の大切さを伝えています。もちろん製品知識を学ぶことも大切ですが、積極的にお客様先を訪問して直接実状やご要望を伺うことで、生きた知識が身につくからです。こうした成長サイクルこそが、ACKの個の成長を支えていると考えています。
|苦渋の決断を「信頼」に変えた
―「個」の成長を尊重し、組織で支える土壌があるのですね。
一方で、時には組織として非常に厳しい決断を下さなければならない局面もあったのではないでしょうか。
梁清仪さん(人事労務リスク管理課): はい。私にとって忘れられない最大の困難は、2023年に起こった世界的な外部環境の変化による人員整理でした。市場の冷え込みに伴う状況の変化に対応するため、やむを得ず数十名の従業員との契約を解消しなければならないという結論に至ったのです。
人事という立場には、会社の決定を現場に伝え、実行する責任があります。しかし、一人ひとりに生活や家族があることも痛いほどわかっています。彼らにその事実を伝え、納得してもらうためのプレッシャーは、言葉では言い表せないほど重かったですね。
―その難局に、どのようなスタンスで臨んだのですか?
梁清仪さん:徹底したのは「誠実であること」です。単に事務的に手続きを進めるのではなく、なぜこの決断が必要だったのか、会社が今どのような状況にあるのかを、全員に対して丁寧に説明しました。さらに、契約解消後の生活を支えるため、再就職支援についてもチーム全員で知恵を出し合い、できる限りのサポート体制を整えました。

驚いたのは、その「後」のことです。
契約解消を告げる苦しい面談の最後に、対象者側から「もしまたACKで募集が出たら、戻ってきてもいいですか?」という言葉が上がったのです。実際、外部環境が好転して再び増員が必要になった際、その多くが会社を信頼して戻ってきてくれました。
あの時は感動しましたね。誠実に向き合い、相手を尊重した対応を尽くせば、それは必ず信頼として伝わるのだと、身をもって実感した出来事です。
|家族のようにオープンに対話できる
―前編では、ACKの強みとして「部署間の垣根がない」というお話がありました。それを感じた出来事はありますか?
梁袁徳さん(製造一課): 赤字だった製造工程の立て直しプロジェクトです。当時は非常に難易度が高いと感じていましたし、会社からの期待も大きく、強いプレッシャーを感じていました。

改善にあたっては自部署にとどまらず、技術や品質保証など関連部門と現場で協議を重ねました。設備の動線改善や作業方法の見直し、さらには検査工程の効率化など、あらゆる側面から課題を洗い出し、ゼロベースでの検討を繰り返したのです。
関係部門と協力して対応にあたった結果、新規の設備投資を行うことなく、現場の工数を約半分にまで削減することができました。これが製品原価の低減において、非常に大きな転換点となりました。
―そうした連携がスムーズにいくのは、なぜでしょうか。
吴丽萍さん(製造二課): ACKには「家族のような雰囲気」があるからだと思います。誰もが平等・公平に会話ができます。
劳佩伊さん(財務課): 女性の多い職場は人間関係が難しいという話はよく聞きますが、ACKは全くそんなことがありませんよね。予算作成などの難しい場面でも、各部署が迅速かつ協調的に動き、オープンにフィードバックし合える深い繋がりがあります。
|性別に縛られず「個々の特性」を活かす
―部長職以上が全員女性という環境について、現場視点ではどのように捉えていますか。
吴杰明さん(保全課):もちろん、役割によっては性別による特性の違いが活きる場面もあると思います。例えば、体力が求められる現場であれば男性の強みが発揮されやすいですし、反対に、細やかな変化に気づくことが求められる業務では、女性ならではの視点が大きな力になることもあります。

しかし、それも最終的には個人の強みや努力次第であり、性別だけで一概に決められるものではありません。大切なのは、性別に縛られず「個々の特性」を適材適所で活かすこと。どちらの性別にも素晴らしい面があるからこそ、それぞれの強みを融合させていけるのがACKの良さではないでしょうか。
严晓童さん(技術二課):彼女たちに共通しているのは、仕事に対する真摯な姿勢です。生活と仕事の両立という課題に向き合いながら、責任感を持って成果を出し続ける姿は、私たち後進にとってのロールモデルになっています。
個々のマネジメント能力はもちろん、部門間を繋ぐ調整能力も高く、その背中があるからこそ、私たちは納得感を持って日々の業務に取り組めているのだと感じています。

前後編のインタビューを通じて見えてきたのは、ACKが単に「女性が多い組織」なのではなく、「個の資質を最大限に尊重する組織」であるということです。
個の成長を組織で支える風土、そして困難な時ほど誠実さを貫く姿勢。上層部が育んだ「オープンな対話」の文化は、現場のリーダーたちによって日常のオペレーションにも深く根付いています。性別という枠を超え、個々の強みを活かし合う。その組織力こそが、ACKの未来を切り拓く原動力となっています。
