Magazineマガジン
NEW
グローバル【製造現場の安全】グローバルな連携で社員の「当たり前」を守る。アーケム流の安全文化
NEW
グローバル【製造現場の安全】グローバルな連携で社員の「当たり前」を守る。アーケム流の安全文化
アーケムが提供する「快適さ」の裏側には、現場の安全と働く人の安心を最優先に守り抜くプロフェッショナルたちがいます。当社では安全のほか、防災、環境、防犯など多岐にわたる面で社員を守る取り組みを行っていますが、今回は特に「安全」に焦点を当ててご紹介します。
お話を伺ったのは、グローバル全体の安全戦略を担うグローバル安全・防災管理課の堀一彦さんと、中国・開平工場で最前線の安全管理を指揮する安全防災環境課課長の司徒敏霞さん。国境を越えて連携する二人に、安全に対する信念と具体的な取り組みについて語っていただきました。

「生きた情報」でなければ、現場には響かない
―まず初めに、「グローバル安全・防災管理課」の役割を教えてください。
私たちの最大のミッションは、働く皆さんが安心して業務に取り組み、何事もなく笑顔で家に帰れる、そんな「当たり前」を守り抜くことです。 もちろんトラブル発生後の迅速な対応も重要ですが、それ以上に大切なのは「トラブルを発生させないこと」。早期にリスクの芽を摘み取るための仕組みづくりに、日々注力しています。

―現場の安全を守る上で、堀さんが特に意識されていることは何でしょうか?
常に「生きた情報」を届けることです。
例えば、ある拠点で起きたトラブルの情報を、そのまま無機質な文字情報として他拠点に流すだけでは、どうしても現場で「自分事」として捉えることは難しいものです。拠点が変われば、環境も設備も、そこで働く人の考え方さえも異なりますからね。
だからこそ、まずは私自身が情報を深く理解し、受け手が「もし自分の拠点だったら、どのような状況で同じことが起こり得るか」「自分ならどう対処するか」と具体的に連想できるレベルまで落とし込んでから伝えるようにしています。
そうして「自分事」として捉えてもらうことで初めて、いざトラブルが目の前で発生した時に、頭の片隅から対処法を瞬時に引っ張り出せるようになると考えています。
―「自分事」として捉えることは重要だと分かりつつ、難しいですよね。
そうですね。私自身も初めは、安全な環境はあって当たり前、事故やトラブルは自分とは遠い世界の話だと高をくくっていました。でも、まだ入社したての新卒の頃、まさに研修を受けていたその拠点で、大きなトラブルが起きたことがあったんです。その時、「危険は常に隣り合わせなのだ」と痛感させられました。
幸い、これまで勤めてきて私自身が大きなトラブルに直面したことはありませんが、この何事もない日々は「当たり前」のようでいて決して「当たり前ではない」のだと、あの時の経験から日々感じています。
当社は安全に対する意識が非常に高く、発生したトラブルは会社全体で管理し、対応する体制がしっかりと構築されています。それは素晴らしいことなのですが、裏を返せば、トラブルを経験したことのない社員も多く、どうしても安全への意識を持ちづらい状況もあると感じています。
だからこそ、そうした人たちに、いざという時に対処する術を提供したい。そう強く考えています。
―堀さんの安全に対する熱い思いは、ご自身の原体験から来ていたのですね。
ここからは、その思いを胸に、堀さんが具体的にどのような取り組みをされているのか、詳しく教えていただきました。
国境を越えて「安全の知見」を共有するワンチーム
品質経営統括管理サイト:安全に関する情報をタイムリーに連携
物理的な距離はあっても、安全に対する意識に国境はありません。当社では「品質経営統括管理サイト」という社内ポータルを構築し、世界中のどの拠点からもタイムリーに同じ情報へアクセスできる環境を整えています。
ここには、各拠点のトラブル対応マニュアルや私たちの活動資料などが集約されています。このサイトによって拠点間の情報格差が解消され、共通認識のもとでスピーディーな連携が可能になり、「ワンチーム」としての横の繋がりが強化されたと実感しています。
\利用者の声/

拠点別安防環会議:双方向のコミュニケーションで「自分事化」する
ポータルでの情報共有はどうしても一方通行になりがちです。それを補い、より深く「自分事」として捉えてもらうために、製造拠点のある地域ごとに定期的なコミュニケーションの場を設けています。
各拠点からのトラブル報告や困りごとに対して、一緒に深掘りしたり、別拠点の対策を共有したりする。そうした双方向の対話を通じて、新たな気付きや生きた知見が組織全体に行き渡る仕組みを作っています。
なぜなぜ分析:会社全体でトラブルの原因を根絶する
発生したトラブルに対しては、原因を多角的に深掘りする「なぜなぜ分析」を徹底しています。現場の担当者目線だけでなく、設備、組織体制、役員視点、さらには外部業者視点など、様々な階層ごとに原因を探っていきます。その分析内容は現場だけでなく、経営層にも共有されます。経営層自らがすべてのトラブル事案を掌握したうえで、会社全体で再発防止と潜在的なリスクの根絶に取り組んでいます。

▲発生したトラブルの原因を階層別に深掘りする「なぜなぜ分析」。
多角的な視点で原因を探ることで、潜在的なリスクの根絶を目指します。
目指すのはリスクの根絶。「気づき」の文化を育てたい
―ご紹介したような取り組みにより、トラブル件数は減少傾向にあると伺いました。今後の展望をお聞かせください。
はい、おかげさまでトラブルの発生件数自体は着実に減ってきました。これからは、単に件数を抑えるだけでなく、一つひとつの対策の「質」をさらに高めていく段階だと考えています。表面的な解決にとどまらず、根本的な原因を突き止め、二度と同じようなトラブルを起こさない強固な仕組みを作っていきたいですね。

堀さんの語る「気づき」の文化は、すでに世界各国の拠点で芽吹き始めています
続いて地域の文化や環境に合わせた各拠点の取り組みについて、司徒さんに伺いました。

実行のカギは「人」:現場の声を聞く
―司徒さんの安全に対する想いを教えてください。
私は、「安全こそが企業の最も堅実な発展を支える原動力である」と信じています。どんなに素晴らしい製品やサービスがあっても、それが安全な環境で作られていなければ、企業の成長は長続きしません。安全は、企業の基盤そのものなんです。
―その信念のもと、どのような活動をされているのでしょうか?
組織全体に「安全」という価値観を浸透させるために、まずは安全管理の制度整備を推進しています。しかし、制度は作っただけでは意味がありません。実際に運用されて初めて、その価値が生まれます。そして、その運用の鍵を握るのは、現場で働く「人」だと私は考えています。
―実際にはどのように現場の方々と関わられていますか?
なるべく現場に足を運び、一人ひとりの声に耳を傾けることを意識しています。オフィスで数字やデータを見ているだけでは分からない、現場のリアルな課題や気づきがそこにはありますから。
また、日頃から安全に関するコミュニケーションをとっておくことで、一方的な「上からの監督」ではなく、従業員全員が参加する「下からの安全活動」へと意識が変わっていきます。自分たちの意見が反映されれば、安全に対する意識も自然と高まりますよね。そうやって、安全意識が特別なことではなく、日常の自然な行動習慣として定着するよう努めています。
―現場の声を聞くことで、自然と安全に対する行動の定着を促しているという司徒さん。続いて、具体的な施策内容についても教えていただきました。
安全に対する意識を自然に根付かせる
組織全体で実状を把握する
基幹職がオフィスを飛び出し、製造現場などの第一線で安全対策の実施状況を自らの目で確認しています。さらに、発生した課題やトラブルについては拠点内だけでなく、堀さんの「グローバル安全・防災管理課」も含めたグローバル各拠点に共有しています。それぞれの視点やノウハウを共有しながら意見を交わすことで得た新たな「気づき」を、改善活動に役立てています。こうした組織全体での活動を通じて、継続的な改善のPDCAサイクルが回っていると考えています。

▲基幹職引率の安全検査
各部門の基幹職は事務所を出て、現場第一線で安全検査を徹底しています。
安全文化の醸成:安全に対する意識を根付かせる
会社として安全宣誓やキャンペーンを実施しています。会社全体で一体感のある「絆」を構築し、「安全第一」の意識が自然と根付く風土づくりを目指しています。
教育に関しても一方通行にならないよう、20人以下の少人数制を採用しています。そうすることで、従来の「上司が話す」スタイルから「全員が話す」参加型へと転換。積極的な発言と提案を促し、一人ひとりの安全感度を高めることに繋がっています。

▲安全キャンペーンの実施

▲安全教育
少人数制にすることで「全員が話す」参加型の教育を実現しています。
安全教育の多様化:安全意識の感度を維持する
一方的な安全教育を単発で実施しても、その意識はどうしてもすぐに薄れてしまいます。そこで、社員一人ひとりが高い安全意識を保ち続けられるよう、「安全教育の多様化」を意識しています。
例えば、安全部門による定期訓練と現場での週次教育を並行して行い、管理側と現場側の両面から相乗効果を生み出す体制を構築しています。教育手法においても、動画や実物を活用した「体験」を重視することで、いざトラブルに直面した際にも対処できる、実践的な環境を整えています。

▲消火器訓練

▲消火リール訓練
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
安全文化を築くことは、一朝一夕にはいきません。長い道のりかもしれませんが、「継続は力なり」と信じています。私たちの安全への取り組みが、設備や環境といったハード面だけでなく、仕組みや人の意識といったソフト面でも企業に貢献し、それが最終的には会社の利益、ひいては社会全体の利益につながるよう、これからも努力を続けていきたいですね。
国境を越え、それぞれの現場で「安全」という共通の使命に向き合う堀さんと司徒さん。お二人の言葉からは、制度や仕組みだけでなく、それを動かす「人」への熱い思いと、決して現状に満足しないプロフェッショナルとしての強い信念が伝わってきました。今回のインタビューは、私たちの「当たり前」の裏側にある絶え間ない努力に改めて気づく機会となりました。「当たり前」を支える彼らの取り組みに、今後もご期待ください。