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経営・理念

【社長インタビュー】Global CEO草野暁が考える 『世界中のあらゆる場面に快適さを広げる』とは?

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【社長インタビュー】Global CEO草野暁が考える 『世界中のあらゆる場面に快適さを広げる』とは?

アーケムの掲げる「世界中のあらゆる場面に快適さを広げる」というPurpose/Vision。
この言葉に込められた想い、そしてこのPurpose/Visionが、アーケムのグローバルにどのように根付き、今後の経営戦略にどのように生かされていくのか探ります。

 

 

私たちアーケムは何のためにあるのだろう?

―はじめに、アーケムのMVV(Mission Vision Value)はどのように生まれたのでしょうか?

「我々が社会から見て、どんな存在でありたいか」「顧客にとって、なくてはならない価値とは何か」「従業員が、ここで働くことに誇りを持てる要素は何か」――。

MVVを決めるとき、役員や従業員が立場を超えて集まり、この根本的な「問い」を話し合いました。そして熱い議論の末に導き出されたキーワードに共通してあったのが、「快適さ」という普遍的な価値でした。ウレタンを通じて快適さを提供することはもちろん、将来的にはウレタンという素材に限らず、事業開始から70年間をかけて培った「技術」を使って快適さを届けていきたいというところも共通認識としてありました。それがMissionの「化学素材の可能性に挑み、心に残る快適さを生み出す」にも表れていると思います。

 

―「快適さ」を届けるにあたって、ウレタンにあまり馴染みのない人も多いと思います。
そういった方たちに、どのように「快適さ」を届けていきますか。

当社が提供するウレタン製品は、最終製品として目に触れる機会は少ないかもしれません。でも意外と皆さんの身近なところに私たちの製品はあります。例えば、快適な朝をともに迎えるマットレス。毎日の食卓で使うキッチンスポンジ。レポートを印刷するプリンタ用の部品。通学や休日のドライブで座る車のシートパッド。家でも学校でも、移動環境に至るまで、生活の「あらゆる場面」において、ウレタンを通じて「快適さ」を生み出しています。この「快適さ」をより広く、そして深く追及していくことが、当社の目指す場所です。

 

 

「快適さ」はお客様と、働く仲間の両方に

―MVV策定にあたっては、「従業員が、ここで働くことに誇りを持てる要素は何か」という観点も重視されたそうですね。

はい。「快適さ」は、製品を通じてお客様に届ける価値であると同時に、アーケムで働くすべての従業員に向けられたものです。製品を通じてお客様に快適さを届けて、従業員も快適に働けること。この両方がしっかり連動することで、初めて会社の持続的な成長に繋がっていくと考えています。現代の日本では高齢化が進み、定年の時期はどんどん伸びてきています。だからこそ、この会社にずっといたいと思える環境を用意したいですね。

 

―そのために、会社として何ができると思いますか?

まずは従業員が会社で得られる経験を増やしていきたいです。そのヒントは多様な価値観を取り入れることで生まれてくるはずだと考えています。例えば新卒の方はもちろん、年配の方も制限することなく受け入れていく。そうすることで、自然と会社のなかで多様な価値観が共存するようになりますよね。若手社員が自分の将来を想像するきっかけになるかもしれない。そうした多様な価値観があるなかで最適な環境、働き方を模索し、この会社で働く皆さんに「快適さ」を実感してもらうこと。それが、ひいては世の中に「快適さ」を届けることにもつながっていくと考えています。

 

 

「挑戦と失敗」を歓迎する文化と人材育成

「快適さ」という新しい価値を創造するには、前例のない挑戦が伴います。当社では、従業員の行動指針となるValueに、「挑戦を習慣とする」ことを掲げています。結果だけを重視するのではなく、その挑戦やプロセスに目を向けて評価する企業文化を作っていきたいと考えています。

 

―そうした企業文化はすんなり従業員に受け入れられたのでしょうか?

もちろん、設立当初は会社の基盤を整えるまでに苦労することもありました。何せ、当社の従業員は優しい人が多いんです。裏を返せば、心配性で挑戦に踏み切るまでに時間がかかる。自分が挑戦をすることで周りに迷惑がかかるんじゃないか、と考えてしまうのでしょうね。ただ、誰かの役に立ちたい、人の役に立ちたいと考えるなかで、挑戦の精神はもともと従業員の間に根付いていたのだと思います。新しい企業文化も徐々に受け入れられていきました。従業員一人ひとりの努力もあり、設立3年を迎えた今は基盤が安定し、未来への挑戦と投資ができるようになりました。

 

―優しい方が多いというのは、私も普段から感じています!

ただ優しいだけではなく、とても明るいんです。海外のグループ会社の従業員の皆さまも、とっても明るく元気です。でも、優しさの中に芯の強さがあるといいますか、軸の部分はぶれないんですよね。柔軟に対応しつつも、コミットしたことは必ず達成する。それが当社の従業員の強みだと思います。ただ、成果をあげたときに「関係者の皆さまのおかげです!」と謙遜する従業員が多くて、それは当社らしさを感じつつ時々もどかしくも感じています(笑)。

 

―そこは今後新たな挑戦へと向かううえで、当社の課題かもしれませんね。

実は既にBtoC事業において従業員からアイディアを募る企画が動き出していて、こうしたきっかけから意識改革も進むと嬉しいなと考えています。この企画自体も従業員から始まったもので、そこにも変化を感じています。
我々の挑戦の源泉となるのは、働く従業員のアイディアだと考えているので、今回の企画に限らず、今後もそれぞれの価値観や状況、立場によって、見える課題やその解決策を遠慮せずに共有してほしい。目の前にある条件や制限にとらわれずに広い視野で社会課題を捉え、我々だからこそできる解決策を生み出していってほしいと願っています。

 

―従業員のアイディアから生まれる新たな挑戦、楽しみにしています。

 

 

グローバルな知の協働

当社は、本社を主要なビジネス・交通ハブである品川駅近くに、そして開発センターを横浜市に構えました。両拠点はDoor to Doorで約1時間という近距離にあり、国内外の市場からのフィードバックを精度高く、即座に開発へと繋ぐことを可能にしています。本社は品川の新幹線口に近く、羽田空港へもすぐに行けるので、出張時もすごく便利です。
また、品川駅周辺には、魅力的なカフェや飲食店が豊富にあることもひとつの魅力です。

 

こうした環境は、社員のランチや隙間時間のコミュニケーションを促し、業務外での活発な交流とリフレッシュを支える大切な要素でもあると考えています。そして横浜市にある開発センターはこれから新築予定です。新しい職場に期待を膨らませている従業員も多いのではないでしょうか。

 

他にも、名古屋拠点は顧客との距離が近いこともあって、拠点全体が活気づいている印象ですし、鳥栖工場はスマートファクトリー化を推し進めています。それぞれの拠点や職場に、地域ならではの特色と魅力がありますね。

 

―アーケムは国内だけでなく米国・中国・香港・マレーシア・タイ・フィリピン、と世界各地に拠点を構えていますよね。グローバルに展開するなかで意識されていることはありますか?

目指しているのは、国境や部門の壁を超えた「地域(国)を超えたワンチーム経営」です。
従業員一人ひとりがチームメンバーとして、裁量をもって業務にあたる体制を整えたいと考えています。国内をとってもそうですが、国や地域ごとに求められる製品特性が異なり、顧客が会社に求めるものも異なってきます。それは拠点にいる従業員が、肌で直接感じていると思います。常に従業員が自身で考え、お客様の期待を超える成果を出す意識を持つことが、このグローバルな経営体制の鍵になると考えています。


▲Archem America, Inc. ニューヨーク工場

 

―日本から海外赴任するケースもありますが、どのような方が適していると思われますか?

誠実で責任感があって、かつ柔軟性をもって各国の文化を理解しようとできる人です。あとは、会社で起きていることを自分で全て把握しようとする意欲のある人、現場を知ろうとする・感じようとする人が向いていると思いますね。

私自身海外赴任をした経験がありますが、そのときに国や地域によって考え方やコミュニケーションの取り方が違うということを実感しました。それは事前にいくら現地の言葉や文化を机上で勉強してもわからない部分です。実際に自分の目で現場を見て、働く人のことを知る。従業員と一緒に苦難を乗り越える。そうした自分自身の肌で感じることの重要性を理解している人は、海外赴任に適していると思いますね。苦難を乗り越えた先には、まるで家族同士のような絆が生まれるので、海外赴任を経験した方々は、きっと新しい人生観に出会われているのではないでしょうか。

会社としても安心して赴任してもらえるよう、海外赴任中の支援体制についても、今後さらに充実させていきたいと考えています。

 

 

利益と社会貢献は同じ方向を向いている

次の「快適さ」への挑戦を成功に導くためには、持続可能で倫理的な経営基盤が不可欠です。企業として利益追求することは当然ですが、それ以上に「社会にとって正しいことは何か」を常に問いかけ、「事業拡大」と「社会に対する貢献」がイコールとなる経営を実践します。
これからも、地域社会との協業を深め、互いにビジョンを共有するパートナー企業との強固な関係を維持・構築し、長期的な価値を高める事業活動を行っていきたいと考えています。