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サステナビリティ【開発秘話】エコなのに、使い心地そのまま。「サステナブル スポンジ」完成までの軌跡
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サステナビリティ【開発秘話】エコなのに、使い心地そのまま。「サステナブル スポンジ」完成までの軌跡
「環境に優しいものは、使い心地を少し我慢しなければならない」。 多くの人が抱くその“当たり前”に、私たちは疑問を投げかけました。
目指したのは、誰もが無理なく続けられるサステナビリティです。ヤシ由来の原料を使用しながら、従来のスポンジと変わらない泡立ちや耐久性を守り抜く。アーケムの「サステナブル スポンジ」は、環境への配慮と快適な使い心地、そのどちらも両立させた私たちの挑戦の証です。
しかし、その挑戦は決して平坦な道のりではありませんでした。会社の最重要タスクとして発足した本プロジェクトの期限は、わずか「6ヶ月」。短期集中でチームの熱量を最大化し、市場が求めるスピード感で最高のアウトプットを出すための、退路を断った決断でした。
タイムリミットが迫る中、部署の垣根を越えて結集したプロジェクトチーム。彼らはいかにして、「環境への配慮」と「快適な使い心地」を両立させたのか。その開発の舞台裏に迫ります。

|目指したのは、会社の「顔」となる商品
―プロジェクト発足のきっかけは、新会社「アーケム」の設立だったそうですね。
北口さん:ええ。だからこそ、単なるラインナップの一つとして終わらせたくありませんでした。「このスポンジといえばアーケム」と想起していただけるような、私たちを象徴する商品にしたかった。それが、プロジェクトメンバー全員の共通認識でしたね。
伊藤さん:とはいえ、私たちはもともと、BtoB(企業間取引)ビジネスを主軸としてきた会社です。メンバーの中にBtoC(一般消費者向け)の商品開発経験者がいなかったのも、今回は大きな挑戦でした。顧客企業からの明確な要望や仕様書があるBtoBと違い、BtoCは自分たちでターゲットを設定し、潜在ニーズを掘り起こしながら進める必要があります。考え方が根本から異なるんです。
さらに今回は、販売開始日という明確な期限が設けられていました。それでもその潜在ニーズに確実に応えうる商品を創り上げる――。迷う時間などなく、猛スピードで決断し続けるその道のりは、想定以上にタフなものでした。
―プロジェクト関連の会議もかなりの頻度で開催されていたとか。
楠部さん:迷っている時間はありませんでしたからね。何かあればすぐに集まり、それぞれが抱えている課題を共有する。そしてそこで出たアイデアを持ち帰ってすぐに試す。そんなサイクルを回していました。特に伊藤さんの話にあった「潜在ニーズ」の発掘については、メンバー内で話すだけでは全員が腹落ちする結論になかなかたどり着くことができず、苦労しました。
北口さん:そこで私たちは原点に立ち返り、徹底的に「使う人の声」を聞くことにしたんです。市場調査はもちろん、社内で100名を超えるモニター調査を実施し、社員の家族も含めた忖度なしの「生の声」を集め、開発の指針としました。
|「サステナブル」と「機能性」。立ちはだかる両立の壁
―そこで「サステナブル」と私たちのミッションである「快適さ」の両立というテーマが生まれたのですね。
北口さん:そうです。しかし、それが最初の難関でした。環境に配慮した原料を使いながら、従来の石油由来スポンジと同等の使い心地を再現する。言葉にするのは簡単ですが、実現は決して甘くはありませんでした。

楠部さん:初めて扱うヤシ由来原料は、想像以上に手強かったですね。こちらの思うような化学反応が起きなかったり、安定した品質にならなかったりと、一筋縄ではいきません。試作しては失敗し、また試作…。しばらくは出口の見えない日々が続きました。
そんな時、ふと過去70年にわたり当社が蓄積してきた膨大な技術データをひっくり返してみようと思い立ったんです。

―開発者としての執念ですね。
楠部さん:そうですね。歴代の先輩方が積み上げてきてくださった膨大なデータや記録を参考に、新しい原料の特性を一つひとつ把握していきました。地道な作業でしたが、その結果、ついに石油系スポンジと遜色ない洗浄力と耐久性を併せ持つ、理想の素材を実現することができました。
|研究室から製造ラインへ。現場の「先入観」を覆した素材力
―完成した素材はその後、安定的にお客様に届けていくための量産フェーズへと移ります。
開発部門からバトンを受け取った当初、製造現場としてはどのような印象をお持ちでしたか。
北口さん:実は、正直なところ不安を抱いていました。一般的に、天然由来という言葉から「強度面で劣るのではないか」というイメージを抱いていたためです。そのため本製品においても、「従来の加工方法で問題なく裁断できるのか」「加工時に屑(くず)がボロボロ出ないか」「条件設定を大きく見直す必要があるのではないか」など、多くの懸念がありました。加工条件を確立するまでには、かなり苦労するだろうと覚悟していたんです。
―実際、試作品を手にされていかがでしたか?
北口さん:それが、ガラリと印象が変わりました。最初に触れた瞬間、「これなら通常のウレタンと同等の加工条件で量産できそうだ」という、確かな手応えを感じたんです。その後、さまざまな条件確認や検証を重ねましたが、通常のウレタンと同等の強度を有し、加工条件を変更することなく安定した生産が可能であることが実証できました。ここまでの性能を実現できたのは、楠部さんが数多くの試行錯誤を重ね、素材設計を丁寧に作り込んでくださったからこそだと感じています。

|単なる「スペック」ではなく「想い」を届けるために
―製品完成後、販売面でも苦労があったと伺いました。
伊藤さん:はい。商品名やパッケージ、配送方法に至るまで、BtoCならではの課題は山積みでした。中でも特に勉強になったのが、商品の「見せ方」や表現への配慮です。
例えば私たちは当初、スポンジの丈夫さを「耐久性」という言葉で表現していました。間違っているわけではありませんが、一般のお客様へ届けるには少し冷たく、温度感が伝わりにくい表現となってしまっていたんです。そこで表現を「タフで長持ち」に変更しました。いかにお客様にわかりやすく魅力を届けるか。言葉選び一つをとっても深い配慮が必要なのだと、学びになりました。

楠部さん:「見せ方」でいうとパッケージについても、お客様の手元に届く状態までイメージして議論しました。パッケージの選定やサイズの設計には、生産性と見た目の美しさのバランスを徹底的にこだわりましたね。

▲「サステナブル スポンジ」圧縮タイプ パッケージ
―お客様へ届けるために、細部まで意識を向ける必要があるんですね。
伊藤さん:そうですね。お客様にどう寄り添うか。「欲しい」と思っていただくための「見せ方」という視点は、私たちにとって大きな経験になりました。
|素材の力で、毎日の「快適さ」を届ける
―最後に、この商品に込めた皆さんの想いをお聞かせください。
伊藤さん:社内で長年蓄積してきた多くの技術や経験も、視点を変えるだけで、お客様の毎日を支える「安心」や「喜び」、そして「快適さ」に生まれ変わる。その確信を得た今、私たちには無限の可能性が広がっていると考えています。
楠部さん:その「可能性」を形にしていくためにも、今回のプロジェクトで得た学びは大きな財産になったと感じています。これを糧に、別事業への展開や未知の新素材開発など、さらなる「新しい挑戦」へと繋げていきたいです。
北口さん:そして本製品は一般のお客様はもちろん、今後はBtoBにも展開をしていきたいと思っています。なぜなら、本商品は完成品でありながら、次の何かを生み出す「素材」でもあるからです。この商品を起点として、新たな価値が共創されていく。そんな未来を楽しみにしています。
開発、製造、そして販売。 それぞれのプロフェッショナルが、数々の壁を乗り越えてつないだバトン。その結晶である「サステナブル スポンジ」は、今日も誰かの暮らしの「快適」を支えています。そして手渡されたそのバトンは、次なる商品へ、さらには新たな事業の創造へとつながっていくのです。
■販売先
・非圧縮タイプ Amazon :https://amzn.asia/d/2h9fDaz
楽天 :https://item.rakuten.co.jp/bskaimin/sustainable_sponge/
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